研究概要 |
近年、ヨーロッパでは外国語の教授・学習を共通の参照枠組みであるCEFRに関連づけることによって小学校から大学及び職業教育まで一貫した外国語教育を推進している。平成17年度(3年計画の1年目)は、翌年度以降のフィールド・リサーチに向けての準備期間と位置づけた上で、ヨーロッパのコンテクストの中でオランダがどのように外国語教育に取り組んでいるかを調査した。まずは、インターネットから入手できる情報の収集に努め、最新の動向について大まかな情報を得た。最も包括的な文献としてはEdelenbos & de Jong(2004)Vreemdetalenonderwijs in Nederland, een situatieschets. NaB-MVTを参考にした。この文献を足がかりとしながら、オランダの関係機関(SLO, CPS, VEDOCEP等)とのメールのやり取りを行い、記述内容の理解を深めるとともに、関係者から紹介された様々なWebサイトにより比較的具体的な事例についても情報を得た。注目すべき取り組みとしては、Webページに学習メニューと学習のためのリソースを提示して学習者の主体的な学習活動を促している事例が挙げられる。また、CEFRを機軸としたポートフォリオの活用を支援するためのWebサイト(http://www.europeestaalportfolio.nl)が設置されたり、CEFRと関連づけられたDIALANGというオンラインの評価システム(http://www.dialang.org/english/index.htm)が開発されたりするなど、オランダ国内であるいはヨーロッパ全体で多角的な取り組みがなされていることが明らかになった。つまり、一貫性のある外国語教育を実現するためには、パフォーマンス・スケールによって到達目標を明確化するだけではなく、それに基づいてパフォーマンスを評価するツールを整備し、さらには評価された個人差を肯定的に捉えた上で個への対応を強化することの重要性が示唆された。
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