研究課題
眼科で多く実施されている視野の評価法が、被験者がターゲットを発見できたかどうかを言語やキー押しで反応する自覚的評価法であるため、インストラクションを理解し、その指示に従うことが困難、すなわち言語的コミュニケーションが困難な乳幼児や知的障害等のある障害児・者の視野は検査できていないことが多いという問題点がある。そこで、視野内へのターゲット提示によって、ほぼ自動的に生じるといわれる、眼球運動の一種であるサッケードを利用して、乳幼児や障害児・者の学習支援に資するための、特別な能力がなくても評価可能な他覚的視野評価システムを開発することを本研究の目的とした。本年度は、眼球運動、特にサッケードを指標とした視野評価を行うために、市販の眼球運動測定装置(Eyetrackertoolbox)と視覚刺激作成装置(VSG2/5)を使用し、視覚刺激提示に伴って生じる視線位置の変化を厳密に測定するための装置、およびその装置を駆動するためのアプリケーションソフトを開発し、他覚的視野評価システムを構築した。この他覚的視野評価システムを使用し、サッケードが視野測定の指標として利用可能であるかどうかを検討するための実験的検討を、健常成人を被験者として実施した。その結果、単に視野内にターゲットを提示した場合に、そのターゲットに向かう視線移動が生じやすいタイプと、生じにくいタイプの2タイプの被験者が存在することが分かった。また、視線移動が生じやすいタイプの被験者では、ターゲットが発見できた場合に、ほぼ正確にターゲット位置まで視線が移動することも分かった。これらのことから、視線移動が生じやすい被験者の場合、サッケードによる視野評価の適応可能性が示唆される。また、ターゲット発見インデックスの工夫によって、視線移動の生じにくい被験者への適応可能性も示唆されるが、さらなる実験的検討が必要である。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (5件)
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