研究課題
本研究は、多文化共生社会スウェーデンにおけるインクルージョン教育の展開を実践的・制度的・歴史的観点から分析することを目的としている。本年度は、インクルージョン教育の実践を考察する視点から研究を進めた。特に独自のインクルージョンモデルを開発している地域や軽度発達障害児を対象に資源を集中させたリソース学校を設置している地域、教育と医療の連携による支援体制を確立している地域を取り上げ、現状と課題を明らかにした。具体的には、北欧の学会に参加して研究動向を把握するとともに複数回の実地調査を行った。成果は以下である。1、平成17年4月にオスロで開催された学会に参加し、北欧のインクルージョン教育に関する最新の研究動向を把握した。学会参加期間中には、北欧のインクルージョン教育研究者と意見交流を行った。2、平成17年9月には第二の都市イェーテボリ市郊外パティレを訪問し、インクルージョン教育の具体化に関する実地調査を行った。3、平成18年2月には首都ストックホルム市のアスペルガー症候群の子どものためのリソース学校の訪問調査を行った。4、同期間に大学病院内の院内学級を訪問し、障害児を援助する医療と教育の連携体制整備について検討した。全ての調査期間中に、大学や研究所を訪問して研究者らと意見交流を行った。5、平成17年10月にイェーテボリ市パティレの学校長、特別教育家らを高知大学に招聘して講演会及び研究交流を含めたワークショップを行った。本年度発表した論文は、パティレのインクルージョン教育の実践や通常学級での個別支援について執筆し、北欧の研究動向を示す文献を検討した。図書の分担執筆では、スウェーデンのインクルージョン教育の全体像を記述した。スウェーデンにおけるインクルージョン教育は、個別対応の保障を基礎に集団への統合を試行していることが明らかになった。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (2件)
北欧史研究(バルト=スカンディナヴィア研究会) 第22号
ページ: 13-22
教育実践研究(信州大学教育学部附属教育実践総合センター紀要) 第6号
ページ: 21-31
『Journal of Baltic and Scandinavian studies(汎バルト・スカンディナビア国際学会誌)』International Association for Baltic and Scandinavian Studies(汎バルト・スカンディナビア国際学会) Vol.14
ページ: 19-45
SNEジヤーナル(日本特別ニーズ教育学会学会誌) 第11巻第1号
ページ: 105-109