I 目的 ライフステージを通しての吃音児者の実態に即した支援法構築の一環として、(1)吃音児4例を対象とした事例研究、(2)調査研究として、(1)女性吃音者のライフステージからみた吃音に対する意識、(2)吃音者の学校教育期における吃音の変動と通常の学級の教師に対する配慮・支援の要望、について検討を行った。 II 事例研究 1.方法:(1)対象児:事例A:発吃3歳3ヵ月の5歳1ヵ月の男児。事例B:発吃4歳0ヵ月の4歳1ヵ月の男児。事例C:発吃2歳4ヵ月の2歳4ヵ月の男児(事例Bの弟)。事例D:発吃1歳10ヵ月の8歳1ヵ月の男児.高機能自閉症.事例Cを除いて発話困難の意識あり.事例A・Dに回避反応あり。アイオワ式吃音重症度評定尺度による初診時重症度は7(事例A)、4(事例B・C)、6(事例D)。 (2)言語指導:遊戯的要素をとり入れて実施(平成17年度研究実績報告書)。(1)ゆっくり、ひき伸ばし気味の発話、(2)柔らかな起声・発話、(3)劇遊び(事例Dのみ)。(3)言語指導終了後に遊戯療法を実施。さらに、親面接を通して環境調整を実施。2.経過:支援は月1回程度のペースで実施。事例Dに対しては、音への過敏性などに配慮しながら指導。本支援を通して、事例B・Cは治癒、事例A・Dは重症度2〜1に軽快した。 3.考察:言語指導に焦点を当てた支援の効果が示唆された。 III 調査研究 (1)女性吃音者21人を対象として上記調査を実施。差恥心がつよかった、吃音を隠そうとしたという回答が多くみられ、電話応対、発言・発表、人づき合い等における悩みや苦労について提示された。女性限定の支援は必要であるという回答が多かった。(2)成人吃音者51人を対象として上記調査を実施.学校教育期において、中学校で吃音重症度が高い傾向がみられた.教師に望まれる配慮・支援事項については、朗読、発言・発表、からかい、吃音の理解などで選択回答率が高かった.
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