初年度である2005年度(平成17年度)は、保育所から学童保育への円滑な移行に関わる要因を調べるため以下の3つの調査・分析を行った。 1.学童保育に関わる文献の調査・分析 学童保育の制度問題や保育実践(特に障害児に関わるもの)に関する文献、および、保育所、学童保育に関わる全国調査の分析を通して、保育所から学童保育への接続問題を整理した。また、その成果の一部は、福山市立女子短期大学研究教育公開センター年報第3号に報告した。 2.障害のある子どもの接続問題に関する調査・分析 広島市内にある法人立保育所に依頼し、保護者の了解を得た後、障害の疑いのある幼児4名(3歳児2名、5歳児2名)に対して発達検査を実施するとともに、保育場面の観察を行い、保育所における生活支援、発達支援のあり方を検討した。また、現在学童保育に子どもを預けている保護者に対して、保育所と学童保育で親子の生活がどのように変化したのかについてヒアリングを行った。 3.保育所と学童保育の連携事業の調査・分析 同一法人により運営され、併設されている保育所と学童保育を訪問し、施設の見学および職員へのヒアリング調査を行った。(1)保育内容が連続していること、(2)保育所と学童保育の両方を利用している保護者は送迎が便利であること、(3)保育所の乳幼児と学童保育の児童との関わりが自然にあること等、保育所から学童保育への円滑な移行を考える上で多くの示唆を得ることができた。 現在は、これらの調査結果を基に、学童保育の接続問題の全体構造を把握するために、保護者を対象とした「幼児期から学童期における生活の変化に関するアンケート調査」を作成中である。
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