研究概要 |
当該研究課題の目的に従い、一般のW代数の表現論とその応用に関する研究を継続した。 W代数は1980年代に物理学者によって導入されたが、実はその数学的研究はそれ以前の1970年代のWhittaker加群に関するKostant-Lynch理論までさかのぼる。従って、Kostant-Lynch理論のchiralizationとしてW代数の理論を整理していくことが数学者にとって理想的かつ効率的な手法といえる。 当該年度は研究代表者が上記考察にもとづきW代数の研究を継続し、新しい視点と結果を幾つか得た。これらを研究成果として国内外で発表し、他の研究者と研究交流を行った。 研究結果に関しては、当該年度出版された論文 ・T.Arakawa, A New Proof of the Kac-Kazhdan Conjecture, Int.Math.Res.Not.2006. Art.ID27091,5pages. では研究目的の一つであった、W代数の表現論の、アフィンリー環の臨界レベルにおける表現論への応用に関する結果であり、Kac-Kazhdan予想の短い別証明を与えた。 また、当該年度には次の論文が雑誌Invent.Math.に受理された。 ・T.Arakawa, Representation Theory of W-algebras これは正則冪零軌道に付随するW代数のすべての最高ウエイト既約表現の指標を完全に決定したものである。 当該年度に得られた結果のうち、いくつかについては公表するための論文を現在作成中である。
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