研究概要 |
研究目的は、高階数のドリンフェルト加群のモジュライに付随する保型関数に関するベイリンソン予想の類似の定式化と解決である。これに関して、安田正大氏との共同研究のもと、プレプリント(京都大学数理解析研究所プレプリントシリーズRIMS-1499)を発表した。内容は、シンボルとしてのK群の元の構成、レギュレーターの構成、レギュレーターによるそれらの元の像の計算、である。シンボルとしてのK群の元の構成には、従来のものよりシンプルなものを得た。レギュレーターの構成について、モジュライがp進的に一意化されていることを用いるのは研究目的の欄で述べたとおりである。その際に、p進的に一意化された空間のK群を定義して用いた。この定義は一般のp進解析空間にも用いることができるのだが、これまでに見たことがなく、他の応用を持つ可能性がある。レギュレーターの像の計算について、プレプリントにおいては、その像が、L関数の特殊値とピリオドと呼ばれる積分値の積として表された。これはベイリンソンの結果の自然な一般化になっている。ピリオドという量については、具体的な計算結果が、次元が0、1の場合、また次元が2の特別な場合に得られており、それはピリオドとL関数の特殊値との結びつきを示唆している。 この研究結果について、2つの研究集会で発表した。ひとつは、広島大学における研究集会「第4回広島整数論集会」(2005年7月20日〜7月22日)にて、題目「Drinfeld modular varietyとL-関数の特殊値についてI,II」のもと講演した。ふたつめは、京都大学における研究集会「代数的整数論とその周辺」(2005年12月5日〜12月9日)にて、題目「Drinfeld加群のモジュライ上のK群の元とL関数の特殊値について」のもと講演した。
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