C.Poor氏とD.Yuen氏との共同研究が進行中である。種数5のジーゲルモジュラ形式に対応する、ある有限群の不変式環の次元公式を求めたが、これから不変式環の次数4のベクトル空間の次元は0であることがわかる。一方、Duke-Imamogluの結果により、対応するジーゲルモジュラ形式のベクトル空間の次元は1である。これより、テータ写像が全射ではないことがわかった。これらを含む共同研究の結果を2005年8月に京都大学数理解析研究所で開かれた研究集会「組合せデザインとその周辺における数理的基礎およびそれらの応用」において発表した。共同研究の結果は、プレプリントとして専門家の間でサーキュレイトしている状況である。 Y.Choie氏(浦項工科大学、韓国)との共同研究にも取り組んでいる。2005年8月には同氏を訪れた(旅費はChoie氏の研究費による)。その中の一つの問題は、ヒルベルトモジュラ形式と重み多項式環の関係についである。以前に同氏と得た結果では、種数1、2のジーゲルモジュラ形式を応用して、符号の重み多項式環を体とは限らない環上で考え、結果を得ることができた。同じ問題をヒルベルトモジュラ形式の場合において考えているのであるが、現在までのところ成功していない。関連する論文の結果を利用しようと試みているのであるが、我々の立場から関連論文の結果をまだ十分に理解し切れていない部分があるためである。 本研究の進行させるにあたり必要な数学的な知見の協力を得るために、三浦敬(宇部高専)、軍司圭一(東京大学)、中本和典(山梨大)、小池健二(山梨大)、岡崎武生(大阪大)、坂内真三(首都大学東京)の各氏を高知へ招聘し(ただし、軍司氏のみ軍司氏自身の科研費)、活発な議論を行った。
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