研究概要 |
E.Ferrandにより与えられた結び目・絡み目のHOMFLY多項式とKauffman多項式との関係に関する予想を肯定的に解決した.具体的には,接触幾何学を通して定義される不変量である極大サーストン-ベネカン数が交代結び目に対してはKauffman多項式の一つの変数に関する最大次数に一致することを確かめることで,交代結び目に対してはHOMFLY多項式の一つの変数に関する最大次数がKauffman多項式の一つの変数に関する最大次数以上であることを示した. 次に,A. StoimenowおよびD. Mateiとの共同研究において,色付きJones多項式と結び目のmutationに関するPrzytycki (Kirby問題 1.91(2))の予想に対する反例を与えることができた.また,A.StoimenowはMutationに関する研究を通して体積予想に対する反例の候補をいくつか与えた.体積予想とは結び目の色つきジョーンズ多項式が結び目の補空間の体積を決定するであろうという予想である.私はそれらのすべてに対して反例ではないことを示した.具体的に述べると彼は体積が異なるが色つきジョーンズ多項式が等しいであろう結び目の対をいくつか与えた.私はそれらの対の結び目に対し色つきジョーンズ多項式が異なることを確かめた. その他の結果として,私はKhovanov homologyの4次元トポロジーへの応用に関する研究を行った.具体的にはKhovanov homologyを用いて定義されるRasmussen不変量を用いて,ある種のCasson handleのエキゾチック性の位相的な証明を与えた.
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