研究概要 |
3次元空間の接触構造を用いて定義される結び目または絡み目の不変量である,極大Thurston-Bennequin数と多項式不変量との関係を調べることで,交代結び目に対するkauffman多項式と極大Thurston-Bennequin数との関係式を得ることができた.その結果の応用として,2001年のFerrandの論文に述べられている,交代結び目のHOMFLY多項式とKauffman多項式との次数の間には不等号が成り立つであろう,という予想を肯定的に解決した.その他の応用として,任意の2橋結び目やプレッツェル結び目に対する,極大Thurston-Bennequin数の公式を得ることが出来ている.この公式はFuchs-Tabachnikovおよび神田の公式の一般化になっている. 次に私は,Stoimenouとの共同研究において,色付きJones多項式が一致するような2個の結び目はミュータントであろう,というPrzytyckiの予想(Kirby問題1.91(2))に対する無限個の反例を与えている. その後私は,Rasmussenの不変量を用いて、キャッソンハンドルの微分構造のエキゾチック性の証のゲージ理論を用いない別証明を得ることができた.また,新たな可微分4次元多様体の不変量を構成し,その不変量をRasmussenの不変量を用いて調べることで,4次元ユークリッド空間の任意の非コンパクト連結4次元部分多様体に,少なくとも二つの異なる微分構造が存在することを証明することができた.また一方では,Donaldsonの定理を用いることで,任意の正の整数mに対して,複素射影平面のm個の連結和の,任意の非コンパクト連結4次元部分多様体に,少なくとも二つの異なる微分構造が存在することの証明に成功した.
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