母集団分布の母数に対して固定幅をもつ信頼区間を構成しようとするとき、要求された信頼水準1-α(0<α<1)を達成するには固定された標本数では解決できない。それで、抽出する標本数を確率的に定める停止規則がいくつか考案されてきた。これを逐次区間推定という。一般的な条件下では、純逐次法と呼ばれる停止規則を用いた場合には二段階法と呼ばれる停止規則を用いた場合に比べて抽出標本数が平均的に少なくて済む。本研究では、母集団分布の母分散に対する逐次区間推定について考察した。この問題に対して、Govindarajulu and Dmitrienko (2002)は純逐次法を用いて逐次信頼区間を与え、区間幅が小さくなるとき、その被覆確率が1-αに収束することを示した。本研究では、彼らが与えた停止規則を用いるとき、その被覆確率がどれくらいの速さで1-αに収束するのか、その収束速度について調べた。解析を進めていくうちに、母分散の逐次区間推定の場合には停止規則が従来のものよりも複雑な構造であるため、当初の予想より問題解決が難しいことに気づかされた。試行錯誤の結果、分散に対する逐次的な推定量を確率変数のランダム和の部分Tとそれ以外の速く収束する部分Uに分解して、別々に評価すればよいという知見を得た。Uの部分の収束速度はTの部分のそれに吸収されてしまうため、結局はTの部分の収束速度を求めることが本質的であることがわかった。これが求まれば他の母数に対する逐次区間推定にも応用できるという意義がある。
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