既に一般アルファベット上の定常無記憶情報源について最小achievableレートの評価を得ているので、信頼性関数の評価と情報源に課せられた条件をどこまで緩和できるかということの二点について研究を行うことが当面の研究目標であった。Gauss型定常情報源と韓(電通大)の提唱する一般情報源(general source)の理論との関連性(平成17年度の研究成果)も踏まえて研究を行ったが、最終的な結果までには至らなかった。以下、具体的に述べる。 平成18年度の研究目標はK.Martonの結果(1974年)である有限アルファベット上の定常無記憶情報源に対する信頼性関数(最小achievableレートと対になっている)の情報理論的評価をGauss型へ拡張することをにあった。ただ最小achievableレートの評価がアルファベット集合に比較的依存せずに済むのに対し、信頼性関数の場合は情報アルファベットの有限性が問題となる。信頼性関数の場合、上からの評価が一般アルファベット上でも比較的容易に成り立つのに対し、下からの評価についてはタイプと呼ばれる経験分布を用いた数え上げの議論となっているため、有限アルファベットに特化されたものとなっている。そこで平成18年度は有限アルファベット性に関わる部分を回避するため評価式の見直しをし、より一般的な議論に繋がるよう基礎的な研究を行った。その一つとして昨年度の成果を利用し、情報アルファベットに制限のない一般情報源の議論へ問題を持ち込むことで有限性を回避する試みをとったが、現時点においてはまだ成果が得られていない。
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