研究概要 |
リスク・センシティブ確率制御におけるエルゴード型Bellman方程式は2階非線形楕円型偏微分方程式で,対数変換を通じて2階線形作用素の正値固有関数に対する固有値問題の一般化と考えられる.エルゴート型Bellman方程式における解は固有値に相当する未知定数と固有関数に相当する未知関数からなり,我々の先行研究において,2階線形作用素の正値解の構造と同様,エルゴード型Bellman方程式は第一固有値にあたるcritical valueを持ち,さらにcritical valueに対して第一固有値の変分表現を一般化したDonsker-Varadhanによるmin-max表現が成り立っことを示した. 一方で,2階エルゴード型Bellman方程式においてノイズの大きさを表すパラメータを組み込み,ある種の特異極限をとることによりH無限大制御に関連した1階エルゴード型Bellman方程式を形式的に導出できる.2階エルゴード型Bellman方程式の解の構造に関する結果を考慮にいれ,粘性解の枠組みで1階エルゴード型Bellman方程式の解の構造を調べ,critical valueが存在することを近年示した. 上記の結果を動機とし2階のmin-max表現を用いて特異極限操作を通じて形式的には1階エルゴード型Bellman方程式のcritical valueに対してもmin-max表現が成り立つことが期待されるが,2階のmin-max表現の結果とは独立に,1階エルゴード型Bellman方程式に対応する制御系がある意味で安定な場合,1階エルゴード型Bellman方程式におけるcritical valueがmin-max表現を持つことを証明した.
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