研究概要 |
17年度には二つの分野で研究した。 1)あるSchroedinger方程式の研究をした。この方程式にはフラクタルエネルギースペクトルがあり、量子力学において変換関数という基本的な関数はエネルギースペクトルの測度のフーリエ変換である。変換関数の漸近的なふるまいはエネルギースペクトル性質に依存しており、特に私はフラクタル特異連続測度のフーリエ変換の漸近的なふるまいを研究した。 スペクトル測度が特異連続なら、時間が(従属変数は時間とよぶ)増加するとともに変換関数は非常に緩慢に減衰する。この漸近的なふるまいとエネルギースペクトルの多重フラクタル次元との関連を精確に証明した。 上述の研究はイタリアのコモ市のInsubria大学のGiorgio Mantica教授との共同研究だった。結果はAnnales de l'Institut Henri' Poincare'で出版された。それから、21st Century COE Workshop "Froniers of Mathematics"(京都大学,17年10月6日-8日)で発表した。 2)Painleve VI方程式の研究。新しい解を含む解の広い族を研究した。さらに漸近的なふるまいとコネクション問題を解いた。いずれ結果をプレプリントの形で出版する予定である。 この研究のために、St.PitersburgのSteklov Institute of Mathematicsに所属しているAlexander Kitaev教授と議論した。大阪大学にKitaev教授を訪ね(17年7月26日-29日)、そして数理解析研究所に同教授を招待した(18年2月16日-28日)。 またPainleve VI方程式に関する2005年函数方程式論サマーセミナーに参加した(岡山県倉敷市、17年8月10日-13日)。
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