研究概要 |
「本年度の研究目的」にある通り、より一般のクーロン型摩擦項を伴う波動方程式の生成作用素のスペクトル構造に関しては、ある程度の情報は得られている。即ち、空間3次元以上の場合には複素平面上で原点を通る或る2直線で別けられる領域のうち、実軸を含む部分に、固有値がある可能性がある。この結果はMitsuteru Kadowaki, Hideo Nakazawa and Kazuo Watanabe, Exponential Decay and Spectral Structure for Wave Equation with Some Dissipations Tokyo Journal of Mathematics vol.28,No.2,PP.463-470 December 2005に記載されている。これらの結果を含む最近の成果については、昨年7月に仙台で行われた国際研究集会「MSJ-IRI 2005 Asymptotic Analysis and Singularity」で報告した。 またランク1の摩擦項を伴う波動方程式の解の、生成作用素のスペクトルによる特徴づけに関する研究を行い、論文にまとめ現在投稿中である。これは、我々が以前取り扱ったSchrodinger方程式に対する問題よりもやや一般的な摂動項を対象としているが、或る仮定の元ではspectral singularityが1位となることを用いて解析したものであり、一般化されたParsevalの等式を確立して解の分類を行ったものである。
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