研究課題
昨年度同様、物理的にも重要な、Schrodinger方程式や波動方程式の非自己共役摂動を考察し、それらの解の挙動と生成作用素のスペクトル構造についての研究を行った。また研究成果をトルコ共和国で行われたISSAC 2007研究集会で発表し、論文としてまとめ、現在投稿中である。具体的には、層状媒質中での摩擦項を伴う波動方程式を考察した。但し、摩擦項の係数関数に対する仮定は、考察している領域のある方向(空間1次元)に関しては、全く効かず、それ以外の(n-1)次元空間においてのみ効果的であるとする。このとき、この発展系の解は時刻無限大で散乱状態になることが、摩擦項の係薮関数及び、空間次元に関するある条件の下で証明されることが判明した。なお、全エネルギーの減衰に関しては、従来と同様の条件の下で成立することが判っているが、この条件と上に述べた散乱状態に対する摩擦項の係数関数に対する条件にはやや隔たりがある。数値実験などの結果から察するに、散乱状態となるのに必要な条件に改善の余地がありそうであるが、これについては現在考察中である。また、先日の日本物理学会では非自己共役作用素に関する特別セッションで、数学サイドから唯一我々が研究結果を発表する機会に恵まれた(発表者は共同研究者の愛媛大学工学部、門脇光輝氏)が、そこでの質疑・応答、特に物理学者が関心を持つ問題などに関して情報交換をすることが出来、非常に有益かつ有意義であった。今後は、数学と物理の垣根を越えて、今もなお未解明の事柄の多い非自己共役作用素のスペクトル解析に関する問題に取り組んでいきたいと思う。
すべて 2007 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 備考 (1件)
Advanced Studies in Pure Mathematics (ASPM); Proceedings of MSJ-IRI 2005 ``Asymptotic Analysis and Singularity" (Sendai, 2005) Vol. 47
ページ: 137-157
Proc. OTAMP 2006 conference( volume of ″Operator Theory:Advances and Applications″)(to appear)
http://www.it-chiba.ac.jp/pf_profile/