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2007 年度 実績報告書

自由確率論と非従順フォン・ノイマン環の研究

研究課題

研究課題/領域番号 17740096
研究機関九州大学

研究代表者

植田 好道  九州大学, 大学院・数理学研究院, 准教授 (00314724)

キーワード自由確率論 / 自由エントルピー / 相互情報量 / 自由エントロピー次元 / ハーディー空間 / 非可換 / 前共役
研究概要

昨年度プレプリントアーカイブに公表した自由確率論における相互情報量の研究でやり残した問題を解決すべく努力した.具体的には相互情報量の自由確率論版に基づいて定義したエントロピー次元と元々の自由エントロピーに基づいて定義されたエントロピー次元の間に期待される恒等式を証明することに力を注いだ.紆余曲折はしたが最終的に期待通りの恒等式を証明することに成功し,紆余曲折した過程で得た発見も合わせて自由エントロピー次元に対する下半連続性を弱い形ながら証明することに成功した.この下半連続性の問題は有名な自由群因子環の同型問題に密接に関わっており多くの専門家に注目されていた問題ではあるが,以前に知られた肯定的な結果は1変数(=可換の場合)の場合だけであり,我々の得た結果は弱い形でかつ上述の同型問題を解くには不十分なものではあるが本質的に非可換な初めての肯定的結果である.これらの成果を既にプレプリントアーカイブにおいて発表済みでかつ投稿中であった論文に新たに加え大幅に書き直すことができた.書き直して再投稿の後,すぐに論文はアクセプトされた.
これまでとは本質的に違う方向の研究として非可換ハーディー空間の研究を行った.ハーディー空間に対する興味は元々本研究課題の柱である自由確率論の研究から来ているが,問題としては完全に独立である.具体的な研究成果としては円盤上で有界正則関数のなすハナッハ環が一意的な前共役をもつという安藤の定理の非可換版を証明した.これは特別な場合として安藤の定理はもちろん,安藤の定理の一般化として知られるいくつかの抽象ハーディー空間に対する結果をすべて含む.また,バナッハ空間論の興味からは関数空間に対するグロタンディエクの結果,フォンノイマン環に対するディクシミェ,境の結果,そして安藤の結果に続く新たな一意的な前共役をもつクラスの提出という観点から興味が持たれることと思う.この結果は極最近プレプリントアーカイブに発表することで公表済みではあるがまだ投稿はしていない.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2008 2007 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Notes on microstate free entropy of projections2008

    • 著者名/発表者名
      Y, Ueda, et. al.
    • 雑誌名

      Publ. RIMS 44

      ページ: 49-89

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Remarks on HNN extensions in operator algebras2008

    • 著者名/発表者名
      Y, Ueda
    • 雑誌名

      Illinois J. Math. (To appear)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Orbital approach to microstate free entropy2008

    • 著者名/発表者名
      Y, Ueda, et. al.
    • 雑誌名

      Internat. J. Math. (To appear)

    • 査読あり
  • [学会発表] Orbital free entropy and its dimension counterpart2007

    • 著者名/発表者名
      Y, Ueda
    • 学会等名
      Whorkshop on von Neumann algebras
    • 発表場所
      Fields Institute, Toronto, Canada
    • 年月日
      2007-11-11
  • [備考] 公表論文等のリスト及びリング

    • URL

      http://www2.math.kyushu-u.ac.jp/~ueda/publ.html

  • [備考] 講演リスト

    • URL

      http://www2.math.kyushu-u.ac.jp/~ueda/talks-j.html

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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