研究課題
惑星系の形成に伴う星周円盤でのダスト進化について、赤外線ダストバンド分光の手法を用いて研究を進めた。具体的には、(1)円盤進化に伴うダスト変化を調べ、惑星系形成に伴う熱史や物質混合などの素過程を明らかにする研究、および(2)近傍円盤の高空間分解能赤外線分光を行ってダスト分布を求め、その原因となる(原始)惑星系円盤の構造を明らかにする研究、の二本立てで進めた。(1)については、すばる望遠鏡の中間赤外線観測装置COMICSおよび、赤外線天文衛星あかりを用いて進めた。この結果、特にTタウリ型星と呼ばれる太陽質量程度の中心星を持つ原始惑星系円盤におけるシリケイトダストのサイズ・結晶性進化について、(1)フィーチャ強度とHα線光度の関係から降着による乱流活動がサイズ進化に影響している可能性があり、(2)年齢に関係なく多くの天体で結晶が見られることから結晶は進化の初期段階で作られたと考えられる。(2)については、すばるCOMICSを用いて、近傍のHerbigAeBe型星およびベガ型星について、高空間分解能(点源像の半値全幅0.3秒角)の分光撮像観測を行った。高速撮像および分光アストロメトリの手法を開発し、〜0.1秒角以上の広がりのダスト放射の検出に成功した。これは実スケールにして10AU(100pcに於いて)程度に相当し、惑星形成領域の進化情報に迫れる。この手法を用いて観測を進めた結果、複数の円盤放射が分解された、(1)Herbig Ae/Be型星のうち、遠赤外超過放射が著しい天体の方が超過が弱い天体よりも広がっている率が高く、その広がりはものによるが数十AUに及ぶ場合もあり、効率的な円盤加熱メカニズムの存在が示唆されること、(2)各種のダスト放射のうち、PAH(芳香族炭化水素ダスト)放射が見られる天体はPAH放射で広がっており、その広がりサイズは50-200AU半径にも及ぶこと、等が明らかになった。
すべて 2006
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