本研究では、突然大増光し光速に近いジェットが噴き出すブラックホールX線連星や、その関連天体である矮新星などの、突発天体が研究対象である。これらの天体はいつどの天体で爆発現象が発生するか予期できないために、一刻を争う爆発の最初期の部分の観測が難しく、そのためにその機構の解明が遅れている。そこで申請者は、予めリストアップした重要な天体を自動で巡回して撮像し、その光度を記録した上で過去の観測値と比較し、増光を発見したら即座に国際変光星ネットワークVSNETに通報するというシステムの開発を、世界に先駆けて行う。これにより爆発初期からの国際共同観測が可能となり、増光機構の解明が期待できる。初年度の平成18年度では、自動モニタ通報システムの調整を行った。前年度に購入した市販の30cm望遠鏡、CCDカメラ、CCDカメラ制御とデータ解析用のパソコン、及び自動モニタ観測をさせるための基礎ソフトであるステラナビゲータをセットアップし、テスト撮影を行った。予定通りの画像が取得でき、かつ自動で多数の天体のモニタ観測ができることを確認した。その後、モニタ観測を行うべき重要天体のピックアップ作業と、取得した画像データを元に画像処理や目的天体の明るさを調べ、恒星カタログや自分で蓄積した過去データと比較し、増光しているかどうかを調べるプログラムの開発作業を並行して行った。重要天体のピックアップに関してはほぼ完了した。またデータ処理解析ソフトに関しても、大まかな形は出来上がってきている。本研究の目的や概要は、平成18年8月にチェコ共和国で行われた国際天文連合総会内で開催された研究会で発表し、関連の研究者と議論を行った。平成19年度でこのシステムの本格運用を行う。
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