本研究では、国内外の望遠鏡を用いて、今後3年間で合計約1000個の中質量G型巨星についてドップラー偏移法による系外惑星探索を敢行し、中質量星における惑星形成に関する知見を得ることを目的としている。平成17年度は、岡山観測所で80夜、中国興隆観測所で20夜、韓国普賢山天文台で10夜程度の観測時間を獲得し、現地に赴き観測を行った。また、ハワイ観測所では、平成18年度前期に3夜の観測時間を獲得した。これらの獲得夜数は当初の見込み通りである。各観測所で現在観測しているサンプル数は合計約600個にのぼり、目標の1000個に向けて順調に増えている。 平成17年度の観測結果から新たに得られた主な知見、成果は次の通りである。 ・岡山観測所におけるサンプル300星のうち、約5%にあたる15星で周期60〜1000日、振幅50m/s以上の視線速度変化が認められた。これが惑星によるものとすると、木星の約3倍以上の質量をもつ惑星が周回していることに相当する。太陽質量程度の比較的低質量の星では、このような質量の大きい惑星が見つかる頻度はせいぜい1%程度なので、本研究のサンプルである中質量星は、低質量星とは惑星系の様子が異なる可能性があることが明らかになった。 ・韓国普賢山天文台での観測により、褐色矮星候補天体を検出した。周期は約420日で、伴星の質量は木星の約24倍である。先の例と同様、太陽質量程度の星では褐色矮星の伴星が見つかる確率は極めて低いので、惑星のみならず褐色矮星形成に関しても中質量星と低質量星との問で相違がある可能性を示唆する結果と言える。
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