本研究では、国内外の望遠鏡を用いて、2005〜2007年の3年間で合計約1000個の中質量G型巨星についてドップラー偏移法による系外惑星探索を敢行し、中質量星における惑星形成に関する知見を得ることを目的としている。平成18年度は、岡山観測所で80夜、中国興隆観測所で35夜、韓国普賢山天文台で10夜程度の観測時間を獲得し、現地に赴き観測を行った。また、ハワイ観測所では3夜の観測時間を獲得し、観測を行った。各観測所で観測したサンプル数は合計約800個にのぼり、目標の1000個に向けてあと一歩のところまできている。 平成18年度の観測結果から新たに得られた主な成果は次の通りである。 ・散開星団では世界で初めてとなる系外惑星を、ヒアデス星団内の巨星で発見した。この巨星の質量は太陽の2.7倍、周りを回る惑星の質量は木星の7.6倍である。同星団内の約100個の太陽型星では惑星が見つかっていないことから、大質量の惑星は質量の大きい恒星の周りで形成される確率が高いことが示唆された。また、ヒアデス星団の年齢は約6億年と精度よく決まっており、巨大惑星形成のタイムスケールとして約6億年以内という確固たる上限が与えられたことになる。 ・我々のサンプルからは木星質量の5倍を超えるような質量の大きい惑星が多く見つかっているが、これらの軌道離心率は0.4以下と比較的小さい。これは、太陽型星の周りの大質量惑星が平均的に大きな離心率をもつのと対照的である。このことからも、中質量星と低質量星とで惑星系の特徴には違いがあると言える。
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