本研究では、国内外の望遠鏡を用いて平成17〜19年の3年間で合計約1000個の中質量G型巨星についてドップラー偏移法による系外惑星探索を敢行し、中質量星における惑星形成に関する知見を得ることを目的としている。平成19年度もこれまでに引き続き岡山観測所、中国興隆観測所、韓国普賢山天文台、ハワイ観測所などで観測時間を獲得し、観測天体数は約800個にのぼった。 平成19年度の観測結果から新たに得られた主な成果は次の通りである。 中質量巨星を周回するものとしては世界で3例目となる「褐色矮星」を日中共同観測によって発見した。太陽型星では褐色矮星が伴星として存在する確率は非常に小さい(褐色矮星砂漠)ことが知られているが、今回の発見はこれが中質量星にも当てはまるかどうかを調べるための貴重なサンプルとなった。 中質量G型巨星の周りに新たに3つの惑星を発見した。現在までに中質量星の周りの惑星は約15個見つかっているが、このうちの半数弱が我々の発見によるものである。これらの惑星はいずれも中心星から約0.7天文単位以上離れた軌道を周回し、内側領域における惑星の欠損が明らかになった。我々は、中心星の進化に伴う外層膨張が引き起こす惑星との潮汐相互作用を理論的に計算し、内側領域における惑星が潮汐力によって中心星に落下した結果、欠損が生じた可能性があることを示した。
|