助手ダスト円盤構造の観測から、地球型惑星の存在を導き出す手法について継続して研究を行った。近年、ダストの光泳動による円盤内の移動という、まったく新しい円盤構造形成のプロセスが提案された。円盤構造から惑星の存在を導くには、光泳動か作る構造との違いを見つけなければならない。そこで、光泳動による構造形成について研究を行った。 その結果、光泳動によって、ガス円盤内のダストは移勤し、サイズに依存する特定の場所に蓄積することを示した。1mm程度より小さいダストは10AU以遠に、1mm程度より大きいダストは0.1-10AUに溜まり、0.1AU程度の穴が中心に開くことが分かった。光泳動によって形成される穴は、中心星のごく近傍にある惑星が形成するものと一見区別がつかない。しかし、穴の半径は、ダストの大きさとガス密度のみによって決定され、ダストの物性には依らないという性質があることを明らかにした。この性質を用いて惑星が作る穴と区別するには、ガス円盤の密度について観測的に求める必要があることを示した。 また、光泳動か有効に働くための条件を求めた。まず、中心星の幅射がダストに直接届くための条件を求めた。円盤ガスの水素分子のレイリー散乱、水素陰イオン、TiOやVOなどの分子によるオパシティーを計算した結果、ベガ型星の周りにあると思われるガス円盤では、中心星の幅射がダストを直接照らし、光泳動か生じうることを示した。つづいて、ダストの自転によって光泳動か抑えられる条件を求めた。まず、コルモゴロフ則に従う等方的なガス乱流が、ガス抵抗を通して、ダストの自転を励起する場合については、ダストの回転は、光泳動を抑えるほど高速ではないことを示した。つづいて、光泳動自身によって励起されるダストの回転速度を求めた。その結果、光泳動自身が十分高速なダストの回転を励起し、光泳動によるダストの移動を減速する可能性があることを明らかにした。
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