多天体同時波面センサーの詳細検討を進めた結果、多天体の波面を同時測定するために必要な現実的な光学系、実験系のパラメータの決定が理論検討で予想されたほど単純でないことが判明した。それを解決するために、いくつかのアイデアを発案し、それぞれについて詳細な検討を続けているところである。具体的には、光学設計ソフトウェアと理論計算の両方を駆使し、各アイデアに基づいた波面センサー光学系を構築し、現実的な光学系パラメータとして決定できるかどうかを一つ一つチェックしているところである。また、この詳細検討・詳細設計に合わせ、多天体同時波面センサーのアイデアを特許として申請する準備をすすめ、特許出願のための明細書の作成をほぼ80%完成させた。平成17年度内に、特許の出願が完了していないため、研究発表を行うことが出来なかったことはまことに残念である。また、多天体同時波面センサーの原理実証実験の準備として、国立天文台開発実験センターのオプトショップを利用して、簡単な実験系を構築し、波面センサーの予備実験を実施し、単一天体による波面センサーの動作確認を行った。また、多天体をシミュレートするための光源の設計を進め、それらに必要な物品として、レーザー光源、ファイバーカプラ、ファイバー分配器などを購入した。実験に必要な波面センサー用高速読み出しCCDカメラおよび高速画像データ入出力およびデータ処理システムについて、予算枠とカメラに要求される仕様を照らし合わせて、慎重に選定し、購入した。
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