研究課題
可視天文学者と協力し、「あすか」で発見された2型AGNの母銀河の研究を行なった。活動銀河核の母銀河の研究は従来、ほとんど1型活動銀河核を用いて行われてきた。しかし、1型では中心核が極めて明るいため母銀河の研究は困難を極めていた。2型のサンプルを用いればこの問題は回避でき、母銀河の構造を詳細に探ることが可能となる。この解析の結果、赤方偏移が1以下の範囲では母銀河のスフェロイド光度とその中心に存在するブラックホール質量の関係(マゴリアン関係)が、現在の宇宙にみられるそれと同じであることを見出した。つまり、赤方偏移1以下の最近の宇宙ではブラックホールと銀河は共進化してきたと考えて矛盾しない。この結果はアストロフィジカル・ジャーナル誌に論文として発表した。また、すばるXMMディープサーベイのX線カタログと電波カタログを比較し、遠方宇宙での非常に強い吸収をうけた活動銀河核の存在量について制限をつけた。この結果は、マンスリーノーティスオブロイヤルアストロノミカルソサイエティ誌に論文として発表した。巨大ブラックホール成長の理解において重要になるのが、ブラックホール誕生直後におきたと考えられる、非常に高い質量降着率下でのスペクトルの理解である。この問題に切り込むべく、銀河系で非常に高い質量降着率を定常的に示すブラックホール天体であるGRS1915+105のX線スペクトルの詳細解析を「すざく」衛星のデータを用いて行ない、その多波長スペクトルやアウトフローの性質について調査した。この結果は、イタリアで行なわれた国際ワークショップで口頭発表した。
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