研究課題
まず活動銀河核からのX線放射を用いてその中心に存在するブラックホールごく近傍の構造を知るため、X線スペクトルの時間変化の解析を詳しく行った。昨年度までに1日程度の時間スケールでのX線スペクトル変化は、ブラックホール近傍でつくられた激しく変動するべき関数型の成分と、ブラックホールの周辺で反射されほぼ一定の成分の組み合わせであるわされることを示した。本年度は、短い時間スケールでの変動や平均的なスペクトルなどの解析を行い、ブラックホールのごく近く(降着円盤)からの放射とより遠方にある物質の双方が存在しX線スペクトルを形作っていることがわかった。特にスペクトルに見られる鉄の蛍光輝線の強度と短い時間スケールでの動は、ブラクホールのごく近くに物質が円盤状に確かに存在していることを意味し、降着円盤からの放射が実際に観測されていることがわかった。また、ブラックホール周辺に存在する電離したガスによる、ブラックホール近傍からの放射の解釈の不定性について検討し、これまでの物質の運動や構造の推定に大きな影響がないこともわがった。さらに、中心から少し離れた(距離にして数パーセク)領域に存在するガスの構造についても明らかにした。これにより、昨年度発見したほぼ全周囲が覆われた構造をしたブラックホールが、宇宙に数多く存在するという示唆がより確かになった。得られた様々な観測結果は、このような隠されたブラックホールが銀河の星生成活動と関連しており、活動銀河の進化を考える上で重要であることを示している。
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