研究概要 |
本研究では超新星起源presolar grainの同位体組成を再現するために超新星元素合成の計算を行い,超新星内部の大規模な不均一混合を考えることによりgrain同位体比を再現する混合組成の特徴について調べた. 我々はまずHe star恒星進化モデルと超新星爆発モデルを用いて13,15,20,25太陽質量の星の進化と超新星爆発を数値的に求めるとともに詳細な元素合成計算を行った.そして,得られた超新星ejectaの元素組成分布をNi層,Si/S層,O/Si層,C/O層あるいはO/C層,He/C層,He/N層の7層に分割した.我々は従来の4層混合モデルを用いて超新星起源grainのSi同位体比を再現する超新星の特徴を調べた.その結果,13,15太陽質量程度の超新星の中でも比較的軽いものがgrainのSi同位体比を再現しやすいことが得られた. 次に我々は7層全てを考慮してgrainの同位体比をできるだけ再現する混合組成を求めるプログラムを開発し,grainのC,N,^<16>O/^<17>O,^<16>O/^<18>O,Al,^<29>Si/^<28>Si,^<30>Si/^<28>Si,^<44>Ti/^<48>Ti同位体比を再現する混合組成を求めた.その結果,SiC X grainと低密度グラファイトについてそれぞれ最大6種類の同位体比まで再現することに成功した. 超新星元素合成に関して超新星ニュートリノの性質に対する軽元素合成とその生成量の依存性についても調べた.我々はまず超新星ニュートリノの温度に対する^7Liと^<11>B生成量の依存性を調べ,銀河の化学進化に対する^<11>B生成量から超新星爆発時に照射されるニュートリノの温度について制限を与えた.次に我々はニュートリノ振動を考慮して^7Liと^<11>Bの超新星元素合成を調べ,これら軽元素の生成量がニュートリノ振動パラメータに依存することを示した.
|