本年度は、まずスーパーカミオカンデIIの最終時期において、現在所持しているニッケルを使用した線源装置で検出器の較正を行った。この装置で得られる信号は非常に小さく、大部分が1光電子レベルである。そのデータにより、各光電子増倍管の量子効率を精度良く求めることができた。また、この結果をスーパーカミオカンデIIの開始時期に取得したデータと比較し、よく一致していることも確認できた。さらにこの効果がスーパーカミオカンデIIにおける太陽ニュートリノスペクトルの観測に与える影響を定量的に求めた。 次に、スーパーカミオカンデIIIで使用する光電子増倍管のうち412本を抜き出し、その利得を求めた。この測定は来年度開始予定の実験において、相対利得を精度良く合わせるために必要である。光源としてキセノンランプとLEDを使用した。前者は多光電子事象を後者は1光電子事象のための光源である。この結果、これら412本の光電子増倍管については1%の精度で利得が得られた。さらに、スーパーカミオカンデIIIにおいて利得を求めるための新しい光源の開発を行った。現在はキセノンランプからの光をシンチレータボールで等方向に発光させている。この装置において、光源をLEDに、またシンチレータボールの発光対称性をさらに良くする改良を行った装置を作成した。今回LEDを使用したのは、発光時定数が短く、高レートが可能であり、取り扱いが容易で、かつ安定しているためである。 最後にニッケル線源装置において、発生するガンマ線を等方にするため、使用するニッケル金属を容器内でより一様になるように改良した新しい装置の開発を行った。
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