最近の観測に従えば、我々の宇宙は加速膨張していることがわかっている。 Einstein方程式が正しいとすると、これはダークエネルギーと呼ばれる未知の「物質」の導入が余儀なくされることになる。そこで、本研究では余剰次元模型からダークエネルギーのなぞ、並びのその周辺の課題に挑んだ。第一段階として6次元の湾曲余剰次元模型のブレーン上の重力理論について考察を行った。この模型はブレーンのエネルギーが存在するにもかかわらず、ゼロに限りなく近い宇宙項の説明に有力なシナリオと考えられている。そのために古典的な正則化の問題を解決しなければならないが、正則ブレーンを導入する方法を用い、ブレーン上で4次元の重力理論が得られることをしめした。この研究によって今後加速膨張の理解が深まると期待される。また、このような模型では一般に重力理論が補正を受ける可能性がある。そこで、大規模構造の観測から得られる三点相関関数と理論予言を比較することによって、重力理論への制限を行った。また、余剰次元模型で期待されている加速器での高次元ブラックホール生成を睨んで、高次元特有のブラックリングの生成条件について、衝突するリングを用いて数値的に解析を行った。
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