^7Hはこれまで観測された中で、陽子数に対する中性子数が最も過剰な原子核である。^7Hは、t+n+n+n+nの基本構造を持つと期待されているが、中性子が非常に弱く結合しているという性質を持つ。そのため、^7Hで初めて観測されるようなエキゾチック構造をもつ可能性があり、注目されている。本研究では、AMDの理論的枠組みを発展させた広い模型空間での計算を可能にし、中性子が極端に過剰な領域に特有なエキゾチック構造の分析を行っている。 平成17年度前半は、主テーマの^7Hに関して、t+n+n+n+nの五体模型による計算を行った。基本的な分析は終了し、期待されたt+n+n+n+n構造が主な構造であることが明らかになった。また、ダイニュートロン模型をカップルさせた計算により、ダイニュートロンガス的なエキゾチック構造が示唆された。しかしながら、最終的な結論を導き出すためには、計算コードの高速化、共鳴状態を取り扱うための理論的枠組みの拡張、ヘリウム等の実験データがそろった原子核での検証を行う必要があることが明らかになった。また、これらの成果に関しては、平成17年9月に行われた日米国際物理学会(ハワイ)の招待講演として、発表を行った。 平成17年度後半は、前半に更なる理論の発展が必要であることが明らかになった内で、クラスター構造とシェル模型的構造の共存を記述する枠組みの整備を行った。典型的な中性子過剰核として世界的に研究が集中するヘリウム同位体に適用した所、^8Heや^<10>Heの基底状態でさえも、t+tクラスター的構造が影響することを世界で始めて明らかにした。これに関しては、大至急、論文を作成し終えたので、英文校正が終わり次第、年度内に投稿予定である。
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