ビーム集束型エッジフォーカスウイグラーを製作し、高エネルギー加速器研究機構(KEK)で磁場測定および磁場調整を行った。その後、大阪大学産業科学研究所のLバンド電子ライナックのビームラインにインストールし、現在このビーム集束型ウイグラーを用いて遠赤外領域のSASE実験を行っている。 製作した集束型ウイグラーは、エッジ角度のついた永久磁石を通常の直方体形状をした磁石の間に挿入する事により、集束と発散を交互に繰り返す(FODO光学系)強集束方式のものを採用した。集束と発散を行うエッジ付き磁石の間隔やそれらの集束力・発散力については、ビーム光学計算を行い最適化した。(ベータトロン波長:0.48m、エッジ角度:5度)また、ウイグラーを構成する永久磁石を加工する際に磁石を切出す素材ブロックの表面磁場を測定したところ、磁場強度分布の中心と機械的中心が約2mmずれている事が分った。ウイグラー製作では強度の揃った磁石が必要であるため、磁石は素材ブロックの磁場強度中心より切出した。この素材ブロックの強度分布と磁場中心のずれについては、試験磁石を製作し調査中である。KEKでのウイグラー磁場測定では、測定値と計算値で大変良い一致がみられた。その結果は自由電子レーザー国際会議(FEL2005、2005年8月スタンフォード大学)で発表した。 産研Lバンド電子ライナックにおけるビーム実験では、集束型エッジフォーカスウイグラーを使い波長90〜200μmのテラヘルツ領域の遠赤外SASEが観測できている。以前使用していた通常型のウイグラーに比べ、集束型ウイグラーを使う事によりSASE光の強度がどの程度上がったか今後調べていく。また、ウイグラーの集束特性についても、ウイグラーへのビームの入射条件を変化させウイグラー内でのビームプロファイルを測定することにより詳しく研究を行っていく。
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