研究概要 |
本研究ではドリップライン近傍の高アイソスピン共鳴状態を不安定核と陽子の低エネルギーの共鳴弾性散乱により測定し、中性子または陽子ドリップライン近傍の高アイソスピン核における1粒子軌道の性質等、核構造に関する知見を得ることをめざした。 本年度は、まだよくわかっていないA=9核におけるT=3/2準位の性質を明らかにするため共鳴弾性散乱^8B+p→^9C*→^8B+pおよび^8Li+p→^9Be*→^8Li+pのデータ解析を行った。統計量の多さ、エネルギー範囲の広さ、角度範囲の広さの点で本実験データに匹敵するものは、これまで測定されていない。得られた^8B+p励起関数においては巾が数百keV以下の狭い共鳴が存在しないことがわかったが、^9Cの第2励起準位によると思われる構造が確認された。また、^8Li+p励起関数においてはエネルギー的に考えて^8Be*(T=3/2)の第2励起準位に対応する可能性のある構造がEx=18.6MeV付近に確認された。また、副産物として天体核反応の問題に関連する^8Li(p,d)等の反応チャンネルの励起関数も得られた。 さらに、ドリップラインの外側の^<18>Na核(^<17>Ne+p共鳴)の研究に有用な低エネルギー^<17>Neビームの生成試験を行った。理化学研究所/東大原子核センターのAVFサイクロトロンによる核子あたり10.4MeVの^<16>Oビームと^3He(^<16>O,^<17>Ne)2n反応を用いて核子あたり約5 MeVの^<17>Ne2次ビームを生成し、実験に必要な最低限の2次ビーム強度1000個/秒を達成することができた。
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