sd-pf殻模型空間の殻模型相互作用の構築をほぼ完成させた。前年度では適切なテンソルカを入れることにより、球形一粒子エネルギーと^<42>Siで最近発見された変形をよく記述することがわかったが、今年度はガウス型中心力を採用することで、中心力部分もより適切な相互作用を用いる改善がなされた。それによって、中心力部分の不定性が除去され、殻構造の変化とテンソルカの関係が非常にはっきりとした形で取り出すことに成功した。 この新たな殻模型相互作用を用いて、より詳細な核構造、特にスペクトロスコピック因子の研究に着手した。この研究では、ミシガン州立大学のブラウン教授とともに新たな殻模型コードNuShellを採用し、その目的に合うようにコードを発展させた。中性子数28近傍の核構造計算を行った結果、48Caの陽子空孔状態のようなこれまで知られている核のスペクトルスコピック因子を実験の知られている高励起状態まできれいに再現できること、47Arで見られる急激なスピン軌道力の変化の要因は、実際は模型空間内の相関によるものが大きく、一粒子エネルギーからの寄与は小さいこと、など多数の現象を理解した。 一連の殻模型計算は、ミシガン州立大学でなされている不安定核の実験の共同研究にも適用された。今年度は特に、36Mgにおける"island of inversion"の拡大、30Naにおける通常・侵入者状態の競合、34Alの磁気モーメントと侵入者状態の混合なとの研究で論文が出版された。
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