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2007 年度 実績報告書

カイラル外挿の不定性を取り除いた格子QCDの数値的研究による新しい物理の探策

研究課題

研究課題/領域番号 17740171
研究機関大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

研究代表者

金児 隆志  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (20342602)

キーワード標準理論 / 格子量子色力学 / 数値シミュレーション / 計算科学
研究概要

量子色力学(QCD)は強い相互作用の物理を記述する理論と考えられているが、低エネルギー領域では解析的な摂動計算が破綻する。このため、QCDを格子上に定式化した格子QCDの数値シミュレーションによる研究が盛んに行われている。本研究では、このような非摂動計算を系統誤差を抑えて高精度で行うために、アルゴリズムの改良などによってカイラル対称性をもつ格子作用を用い、これまでの研究よりも大幅に軽いクォーク質量でシミュレーションを行った。本年度はさらに、統計誤差を大幅に削減し、また、これまでの研究では無視されることが多かった非連結相関関数の寄与を正しく取り入れるために、任意の時空点から任意の時空点へのクォーク伝播関数を計算する手法も併用し、最も基本的なパイ中間子の性質、特に、電磁、スカラー形状因子を精密に計算した。
その結果、電磁形状因子はロー中間子の共鳴状態の存在から期待される運動量遷移依存性を示すことを確認し、一方、スカラー形状因子にはそのような特徴的な依存性が見られなかった。これは、実験的探索が盛んに行われているスカラー中間子の質量がロー中間子と比べて、それほど軽くないことを示唆していると考えられる。
また、形状因子のクォーク質量依存性をカイラル摂動論の予言式と比較したところ、少なくとも、本研究でシミュレーションを行ったクォーク質量では、カイラル摂動論のnext-next-leading order (NNLO)の寄与が有意にあることがわかった。この結果は、新しい物理の探索などに重要なより重い中間子の形状因子についても、NNLOを寄与を正しく取り入れた研究をしなければいけないことを示唆している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Pion form-factor from all-to-all propagators of overlap quarks2007

    • 著者名/発表者名
      T. Kaneko, et. al.
    • 雑誌名

      Proceedings of Science LAT2007

      ページ: 148-154

URL: 

公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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