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2006 年度 実績報告書

低次元電子-正孔系の理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17740193
研究機関大阪大学

研究代表者

浅野 建一  大阪大学, 大学院理学研究科, 助教授 (10379274)

キーワード電子-正孔系 / 励起子 / 励起子分子 / モット転移 / スレーブボゾン平均場法
研究概要

ドープされていない半導体を光で強励起し、伝導帯に電子、価電子帯に正孔を多数作ってしばらく待つと、これらが準熱平衡に達した電子-正孔系を実現することができる。本年度は、これらの電子と正孔を擬一次元構造に閉じ込めた一次元電子-正孔系およびバルクの電子・正孔系についての理論的研究を進めた。
まず、一次元電子・正孔系については、電子と正孔がすべて励起子を組んでいる低密度・低温領域に注目し、光励起によって生成された励起子と、背景にある励起子の波動関数が自己無撞着になるように決める定式化を構築した。これによって得られる計算結果は、これまで用いられてきた半導体ブロッホ方程式によるものとは定性的にまったく異なる。特に低温では励起子モット転移を起こさず、系は常に絶縁相にあることが見出された。これは昨年度行ったボゾン化法を用いた理論計算の結果を支持するものである。
次に、バルクの電子・正孔系を研究するためのモデルとして、電子-正孔ハバードモデルを用い、これをスレーブボゾン平均場法を用いて解析した。同種粒子間に働く斥力相互作用と異種粒子間に働く引力相互作用の強さによって、基底状態(凝縮相ではないことを仮定)の性格がどのように変化するかを調べて相図を作成した。その結果、引力相互作用が斥力相互作用に比べて大きい領域では、すべての電子と正孔が励起子分子を形成した励起子分子ガス絶縁相、引力相互作用が斥力相互作用に比べて弱くしかも斥力相互作用がそれほど強くない領域では、電子と正孔がバラバラに乖離したプラズマ金属相、作用が斥力相互作用に比べて大きい領域では、すべての電子と正孔が励起子分子を形成した励起子ガス絶縁相、引力相互作用が斥力相互作用に比べて弱くしかも斥力相互作用が強い領域では、すべての電子と正孔が励起子を形成した絶縁相が現れることが明らかになった。また相互作用パラメータを固定して、電子-正孔密度を小さくしていくと、励起子ガス絶縁相の領域がプラズマ金属相の領域を侵食していくことが分かった。

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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