研究概要 |
本年度は,電荷ストライプ秩序を示すLa_<2-x>Ba_xCu_O4 (LBCO)超伝導体について,一軸応力低温下,及び強磁場低温下における放射光X線回折実験を行った.得られた結果は以下の通りである. 1)低温実験 常圧低温下Ba濃度の異なる3種類の試料について測定を行い,電荷ストライプ秩序の安定性がBa濃度(ホール濃度)とどのような関係にあるのかを明らかにした.また,ストライプの安定化と結晶構造との関係も明らかにした. 2)一軸応力低温実験 低温X線実験用の一軸圧力セルの開発を行い,それを用いて,常圧低温下で電荷ストライプ秩序が最も安定なx=0.125のに関して,一軸圧力下低温X線回折実験を行った.その結果,ある特定の方向に圧力をかけたときに結晶構造相転移が抑制され,同時に電荷ストライプ秩序が融解した事を発見した.圧力により結晶構造をコントロールする事で,電荷秩序のコントロールができる事を微視的に初めて明らかにできた.更に,基本反射の8桁落ちの極めて微弱な信号を多重極限下で測定するノウハウを得る事ができた. 3)強磁場低温実験 常圧低温下で電荷ストライプ秩序が安定であるが,超伝導も強固に残っている,x=0.1に関して,8Tの強磁場を印可して超伝導を抑制したときの電荷秩序の状態(安定性)を調べた.その結果,preliminaryには,磁場によって電荷ストライプの周期及びその相関長に変化が現れた事を突き止めた.
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