平成17年度にCeColn_5の単結晶試料作成を精力的に行い、その結果、2.3Kで超伝導転移を示す3mm^*3mm^*0.5mm程度の大きさの良質な単結晶試料の作成に成功した。この試料を用いて、平成18年度前半に中性子小角散乱実験を行い、この系の磁束格子の観測に挑戦した。 また、京都大学松田研究室からのCeRh_1-xCo_xIn_5系の単結晶試料の提供を受け、平成18年度に、中性子弾性散乱、準弾性散乱、非弾性散乱実験による磁気相関の観測をおこなった。この混晶では、Co濃度xに依存して、結晶に整合する周期を持った反強磁性秩序、非整合の反強磁性秩序、超伝導という3つの状態が発現することが予想されていた。我々の研究において、Co濃度xが低濃度側(x【less than or equal】0.3)では非整合の反強磁性秩序が存在し、一方、中間濃度領域(0.3【less than or equal】x【less than or equal】0.6)では整合の反強磁性と超伝導が共存することがわかった。ここでの最も注目すべき重要な成果は、非整合の反強磁性秩序と超伝導は共存し得ないことを見出したことである。この結果により、反強磁性転移にともなうフェルミ面上のギャップ形成によって超伝導が急激に抑制されることが示唆され、この系の超伝導を担うフェルミ面上の位置を特定することに成功した。これは、重い電子系超伝導体においては世界初の例であり、新奇な超伝導体における超伝導発現のメカニズム解明の核心に迫る極めて重要な手がかりとなった。現在Phys.Rev.Lett.に論文を投稿中である。
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