研究概要 |
1.様々な有機分子で被覆された金ナノ微粒子の合成とその構造評価 粒径2nm程度の金ナノ微粒子を対象に、様々な有機分子を保護剤として使用して表面修飾を行い、修飾分子の違いによる金ナノ微粒子の磁気特性変化を調べた。被覆有機分子として、ドデカンチオール、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドンを用いた。合成した微粒子の粒径分布と単分散性、結晶性については、透過電子顕微鏡(TEM)による微粒子の直接観察とX線回折(XRD)で評価を行った。金原子のX線吸収微細構造(XAFS,XANES)スペクトルを用いて、カーブフィッティングによる局所構造解析を行い、表面と被覆分子との結合状態と金原子-金原子間距離の評価を行った。また、XANESスペクトルのホワイトライン強度解析により金原子のd正孔密度の評価を行い、金ナノ微粒子表面-有機分子間電子移動の定量的な解析を試みた。 2.強磁性微粒子と反強磁性膜の界面に生じる磁性の研究 基板上に反強磁性体である酸化コバルトを成膜し、化学的に合成した強磁性FePt微粒子をLB法によって単層膜化し、この反強磁性膜の上に塗布した。その後、本補助金で整備したUVオゾンクリーナによって、被覆分子を分解することで、微粒子表面と膜を接触させ、反強磁性体と強磁性体の界面を形成し、界面に生じる交換結合による、磁気異方性の向上を試みた。反強磁性膜のない基板上に成膜した試料と比較したところ、反強磁性体との界面がある場合の試料でブロッキング温度の向上が観測された。
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