研究概要 |
充填スクッテルダイトPrFe_4P_<12>は低温において約2.4GPa以上の圧力下で新たな秩序状態になることが高圧下電気抵抗測定などから報告されていた。この新たな高圧秩序相の秩序変数を明らかにするため、この系の単結晶試料による高圧下中性子散乱及びX線散乱実験を行った。その結果、この系は高圧下で大きな格子収縮を伴った波数ベクトルQ=(1,0,0)の反強磁性秩序を示すことを微視的に明らかにした。また、中性子散乱実験により、この圧力誘起反強磁性相での秩序磁気モーメントの値は約2μBと大きな値を持っことがわかり、高圧相での低エネルギー領域の結晶場状態は磁気的に縮退していることを強く示唆する実験結果を得た。 希土類ヘキサボライド(Ce,La)B_6のPhase IVでの秩序変数を調べるため、昨年度から引き続き、^<11>B同位体をエンリッチしたCe_<0.7>La_<0.3>B_6単結晶試料での極低温での中性子弾性散乱実験を行った。その結果、波数ベクトルQ=(1/2,1/2,1/2)において非常に微弱な超格子反射が存在することがわかった。この超格子反射強度は通常の磁気形状因子の波数依存性とは異なり、高い波数領域で強度が増大する傾向が観測された。これはこの系のPhase IV秩序変数が磁気八極子であることと矛盾しない結果である。今後、更に高い波数領域での実験を計画している。 重い電子系化合物URu_2Si_2の‘17.5K転移'の真の秩序変数が波数ベクトルQ=(1,0,0)の空間変調を伴っているのかどうかを調べるため、単結晶試料による偏極中性子散乱実験を行ったが、測定装置のトラブルのため残念ながら十分な統計精度での実験結果が得られなかった。そのため、今年度、継続して上記の実験を行う予定である。
|