薄膜材料の面内に容易化軸を持つ磁区構造観察の詳細については、これまで実験手段の制約から報告が限られていた。今回、強相関系電子材料として期待されているLa1-xSrxMnO3薄膜を作製し、磁気ドメイン観察ならびに電子状態を知るために、放射光を光源にした光電子顕微鏡(PEEM)によるマイクロスペクトロスコピーの測定を行った。 デバイス開発で素子動作を行うために試験的に作製されているデバイス材料の大きさを考慮し、今回、5^*10μm^2の大きさの長方形の形状の薄膜を、以下に示すようなプロセスにより、用意した。加工手順は、以下の通りである。 1)電子ビーム描画によるレジストパターニング 2)レジストをエッチングマスクとしたArミリング 3)レジスト剥離 4)触針式段差計によるエッチング深さの測定 左右円偏光を用いてMn元素のL吸収端近傍での磁気円2色性の実験を行うことにより、磁気モーメントのイメージング像を得た。確認のため、放射光の入射方向を変えて、磁気ドメイン観察を行った。その結果、入射角が薄膜のステップ方向と平行なときにMCDシグナルが最大になることが分かった。このことは、磁区がステップに沿っていることを意味している。スペクトルの空間分布を一度に取る事ができ、空間分解能が約50nmであるので、測定したイメージングを元に定量的なマイクロスペクトロスコピーを行なった。
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