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2007 年度 実績報告書

吸着原子の流れによるステップ列の形態不安定性

研究課題

研究課題/領域番号 17740251
研究機関金沢大学

研究代表者

佐藤 正英  金沢大学, 総合メディア基盤センター, 准教授 (20306533)

キーワード物性理論 / 非平衡系 / 結晶成長 / 微斜面 / ステップ
研究概要

結晶表面上を拡散する原子がステップ位置で固化・融解する。直線ステップが等間隔にならぶ微斜面では,結晶の成長・融解に伴い,ステップが束状になるバンチングや,直線ステップが不安定になる蛇行が起きる.本研究では,シリコン(111)7×7構造および1×1構造共存微斜面を念頭に置いて,これらの不安定化について調べた。
Si(001)微斜面では,キンクが多い荒れたステップとキンクが少ない直線的なステップが交互に現れる。このキンク密度は,ステップでの固化・融解の頻度,カイネティク係数に差を生じると考えられる。この効果を取り入れて,線形安定性解析およびモンテカルロ・シミュレーションによりステップの挙動を調べた。その結果,差があることで,成長時および昇華時ともに,微斜面上でのステップが対生成を起こすことがわかった。さらに,生成された対はバンチングを起こすことも分かった。対は蛇行に対しては安定であることも分かった。この成果はEur. Phys. J. Bに発表済みである。
7×7構造および1×1構造が共存するSi(111)微斜面については,2つの構造の拡散係数の差に着目したモデルを用いてモンテカルロ・シミュレーションを行い,吸着原子の流れがある系でのステップの挙動について調べた。その結果,流れの向きによらずステップがバンチングを起こすことと,下段向きにステップの蛇行が起きることがわかった。さらに,ドリフト流が強くなると.一度形成された束からステップの離脱が起きるが,これは束と束との間の大きなテラスでの吸着密度の分布から理解されることがわかった。
下段向きの吸着原子の流れがある場合には,離脱したステップは後退するが,これはテラス上での吸着原子密度が微斜面での平衡密度以下になっているためである。また上段向きの流れがある場合には,前進するが,これは密度が高くなっているためであることがわかった。従って,昇華もしくは成長させることで,ステップの離脱を抑えて,平坦で広いテラスを作成することができることが分かった。以上の結果は,J. Phys. Soc. Jpnに発表済みである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Drift-induced step instabilities on Si(111) vicinal face near 1×1 ⇔ 7x7 Transition temperature2007

    • 著者名/発表者名
      K. Ikawa M. Sato M. Uwaha
    • 雑誌名

      Journal of Physics Society of Japan 76

      ページ: 064602-1064602-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effect of step permeability on step instabilities due to alternation of kinetic coefficients on a growing vicinal face2007

    • 著者名/発表者名
      M. Sato
    • 雑誌名

      Eur. Phys. J. B 59

      ページ: 311318

    • 査読あり

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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