研究課題
ペタワット級(1PW=1×10^<15>W)のピーク出力を有する超高強度レーザーと物質との相互作用における極限的な物理状態の実現とその生成過程の解明に寄与するために、今まで実現されていなかった約100nmの広いスペクトル帯域増幅及び10桁以上の高いコントラスト動作が可能なOPCPA非線形増幅法を確立することを目的として初年度の研究を行った。多段のOPCPAを用い各OPCPA段において位相整合角をわずかに変えることで増幅帯域をずらすことにより、広帯域増幅及び任意のスペクトル整形が可能であることを見出した。また、従来の再生増幅器とOPCPAを組み合わせることにより必要とされる励起エネルギーを大幅に低減できることを独自に提唱し、特許出願を行った。上記のアイデアを基にOPCPA計算コードを構築し、広いスペクトル帯域増幅に必要な非線形光学結晶の選定、位相整合角及びシード光と励起光との角度を明らかにした。また、高いコントラストを得るために必要な増幅利得を達成するための励起強度及び相互作用長の最適値を明らかにした.実験では、OPCPAにはタイプI位相整合のBBO結晶を2つ用い、その励起光には単一縦モードのQスイッチNd:YAGレーザーの第二高調波光を用いた。OPCPAのシード光には6桁のコントラストを有する再生増幅器からの出力光を4nJに減光して用いた。このシード光をOPCPAで増幅することにより、24mJのシグナル増幅光が約90nmの広いスペクトル帯域、4.4×10^<-11>(検知限界)の高いコントラストで得られた。この成果は学術論文として出版するとともに国内・国際会議で報告した。
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