本研究は、レーザー航跡場をX線発生のためのアンジュレータとしての実現可能性を調べるために、航跡場の空間分布と寿命の過程を実験的に調べることを目指している。特に、アンジュレータとしての特性に重要な扁平な航跡場の生成を行うことを目的としている。 H17年度は、まず扁平航跡場生成のための2つの円筒反射鏡から成る新しい光学系を設計した。従来考えていた球面鏡と放物面鏡から成る光学系よりも、焦点深度が大きくなるため、本研究の航跡場生成に有利であると考えている。この光学系よりも、焦点深度が大きくなるため、本研究の航跡場生成に有利であると考えている。この光学系による扁平航跡場は、本研究の主題であるX線生成のみならず、リニアコライダーで必要とされる扁平電子ビーム生成にも使えることを発見した。 また、長焦点(f/13)の放物面鏡でピークパワー3TW、パルス幅70fsのチタンサファイアレーザーをヘリウムガス中に集光する航跡場生成実験を行なった。従来、電子発生が行われないと考えられていた低強度(10^<18>W/cm^<-2>)であっても電子発生が行われることを見出した。また、発生する電子はピークエネルギー20MeVの準単色電子で、空間的にコリメートされた高品質の電子ビームであった。この電子ビームを磁石で曲げ、X線CCD分光器でKeV領域のX線を計測したところ、信号を観測した。これは、航跡場で蛇行運動することにより発生するX線(本研究のテーマである航跡場アンジュレータからの放射)である可能性があり、現在データを詳しく解析中である。
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