H18年度は、長焦点(f/10)の軸外し放物面鏡でピークパワー20TW、パルス幅25fsのチタンサファイアレーザーをヘリウムガスジェット中に集光する航跡場生成実験を行なった。レーザービームはほぼ軸対称の形状(11μm×10μm、1/e^2半径)に集光され、その集光強度は、(7.5±0.3)×10^<18>W/cm^2であった。プラズマ密度2.6x10^<19>cm^<-3>のときに、エネルギー75MeVの準単色構造の電子の発生及び、100MeVを超えるMaxwell型分布の電子発生を確認した。また本装置でのビームプロファイル計測も行い、レーザービームと同様の、ほぼ円形の電子ビームプロファイル(集光点から870mm離れた地点で14mm×16mm、半値全幅)であることがわかった。高速電子発生が確認されたので、この高速電子に伴う、航跡場アンジュレータからのX線発生の計測を試みた。しかし、電子ビームからの制動輻射バックグラウンドが高く、この低減を図る必要があることが分かった。また、ガス中での航跡場の生成とレーザー伝播の様子を計測するために、透過レーザー光のFROG(Frequency Resolved Optical Gating)計測及び、プローブ光を用いたレーザー伝搬計測を行なった。高速電子発生と同時に計測を行い、その発生と相関を取得した。このとき、照射ガスをヘリウムとアルゴンの2種類変えて行なった。詳細は、現在解析中であるが、アルゴンガスの場合に、より顕著な電子発生とレーザー透過光の青方変移の相関が見られた。透過レーザー光には、プラズマ化や、電子加速に影響する航跡場の生成過程との相互作用の結果がエンコードされており、その情報を、レーザーのスペクトルと位相情報から引き出す解析を行なっている。
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