和歌山県有田郡の一つの微小地震クラスターの直上に、0.3〜1.0kmの間隔で合計31点の地震計を設置し、稠密地震観測を実施した。震源の深さを拘束するためにクラスターの中心から周囲5〜10kmの地点にも9点の地震計を設置し、合計40点で臨時地震観測をおこなった。設置期間は、3ヶ月半であった。これまでに類を見ない稠密な地震観測を実施できた。収録されたデータを用いた初期解析の結果によると、微小地震は地表の活断層トレースに平行に分布し、南東側に傾斜した断層面を形成しているようである。この断層面の走行と傾斜は、観測地域のテクトニクスと整合的であり微小地震クラスターが構造的弱面で発生している可能性が考えられる。今後、詳細な解析を進め、相対走時データを用いた超精密震源決定・地震波速度構造の評価をおこない、微小地震クラスターの発生要因を特定する。
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