2003年十勝沖地震の地震時および地震直後のGPSデータを、1秒、および30秒サンプリングで解析した。1秒、および30秒にわたる解析では、GPS観測点で用いられているアンテナなどの機種による違いや、受信環境の違いのため、地震時の地震波形を除けば時系列はノイズが多く、このノイズの除去に工夫を要した。しかし、30秒サンプリングでの解析を3日分のデータにわたって行った結果、明瞭にゆっくりとした地殻変動が検出された。得られた時系列に対して対数関数をフィットし、同様の解析を数ヶ月にわたっての長期の日ごとのデータに対して行った結果と比較したところ、両者の時定数は必ずしも一致しなかった。これはすなわち地震直後3日間に起こっていた変動プロセスがより長期にわたって起こった変動プロセスと若干異なることを示唆している。地殻変動のモデル化は平成18年に行う。 また、2005年福岡県西方沖地震について、1秒GPSのデータ解析を行い、それに基づいて波形インバージョンを行った。震源域付近にはGPS観測点が1点あり、モデルの拘束に役立った、GPSのみで得られた結果は、強震計で得られた結果とほぼ整合的であり、1秒GPSがM6.6-M7中規模の地震でも有用であることが示せた。この研究では、両者の整合性を確認したうえで、GPSと強震形のジョイントインバージョンも実施した。なお、同地震の最大余震(M5.5)では、GPSでは有意な波形は得られなかった。 さらに、2000年にアイスランドで、1日の間に4回の地震があり、地震時の変動と地震間の変動とを分離する試みを行った。非常にノイズが多く、回析には困難を極めている。
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