研究課題
本年度はコアーマントル境界における不均質構造の詳細について主にペロブスカイトーポストペロブスカイト相転移を含む2次元熱化学マントル対流数値モデルを用いて調べた.また、3次元系におけるテスト計算も行った.これらの数値計算を行うために17CPUのPCクラスタ計算機の構築も同時に行った.研究成果については、3本の投稿論文にまとめた.これらの論文における重要な結果は以下の通りである.(1)地震波トモグラフィーなどで得られている大規模不均質構造については、組成異常ならびにポストペロブスカイト相転移境界による寄与で構成されている可能性が高い.特にポストペロブスカイト相転移の影響はコアーマントル境界付近まで沈み込んでいるスラブ付近で確認される可能性が高く、大規模なスケールにおいてその寄与が顕著に表れる.また、組成異常に関しては、小規模なスケールの不均質構造にも影響を与えている.さらに、現実的なコアーマントル境界の熱的状態においては、ペロブスカイト→ポストペロブスカイトへの相転移だけではなく、ポストペロブスカイト→ペロブスカイトへの相転移がコアーマントル境界のごく近傍で起きている可能性が実現できることを確認した.(2)ポストペロブスカイト相転移は発熱相転移であるため、密度異常が熱浮力と同じ方向に働く.この影響によって、組成異常による高密度異常の安定化を妨げる働きがあることを本年度の研究により明らかになった.
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
Earth and Planetary Science Letters 238
ページ: 204-216
Proceedings of Third MIT conference on Computational Fluid and Solid Mechanics
ページ: 779-782
Earth's Deep Mantle : Structure, Composition, and Evolution (AGU Geophysical Monograph) 160
ページ: 83-99