研究課題
本研究の目的は将来の月・惑星探査計画に適用可能な地震観測システムを開発することである。そのためこれまで月探査用に開発してきた地震観測システムについて実ミッションを模擬した環境での性能特性を把握し、効率的な運用方式の策定やデータ解析に必要な情報を事前に得るとともに、今後の惑星探査機に搭載する将来型地震観測システムの開発に資する制約条件や改良方針についての情報を得ることである。将来型地震観測システムの高性能化・長周期化に必要なFFTアナライザ、高精度・高分解能計測回路、位置検出用静電容量型変位計、解析用ワークステーションについては別経費にて購入することができたため、本研究経費では地震計校正用の高精度電圧・電流源とシールドケースを購入した。これにより、地震計センサーの長周期化・広帯域化を行うための開発環境をほぼ整えることができた。また、これまで月探査用に開発してきた短周期地震計センサー単体について自然地動観測に対する応答特性を調べてきたが、本年度は表面設置型探査機に搭載することを想定したジンバル機構搭載状態での性能確認を実施した。その際、地震計センサー以外の搭載機器(計測回路系・データ処理・通信系、電源系)についても探査機搭載形態を模擬することで応答特性への影響や相互干渉の有無についても調査した。地動観測は名古屋大学犬山地震観測所にて数日単位で計3回実施し、長時間の波形データを取得しながら観測方法の改良や設置環境の変更を逐次行った。観測は予定どおり実行され、現在観測データの詳細な解析と来年度に実施する観測システムの改良・性能向上に反映するための評価検討を行っているところである。さらに、昨年度から継続実施している現行の月探査用地震観測システムの性能評価で得られた成果実績と本年度の開発経過について国際学会と国内関連学会において口頭発表を行った。
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日本地震学会広報誌「ないふる」 Vol.53・January
ページ: 4-5
Proceedings of 6th IAA International Conference on Low-Cost Planetary Missions Vol.6
ページ: 425-432
ページ: 433-440