(1)地震発生サイクルシミュレーションコードの改良 地球シミュレータ上ですでに最適化していた平面断層用の地震発生サイクルシミュレーションコードを改良し、3次元的なプレート境界面形状を扱えるようにした。具体的には曲面的なプレート形状を小三角断層で近似してモデル化し、その上に摩擦特性の不均質を与えて地震発生サイクルが計算できるようにした。このコードを用いて、従来平面で行っていた南海トラフの地震発生サイクルシミュレーションと同様な摩擦特性分布を与えた計算を行った。その結果、プレート境界面の深さに依存して摩擦特性が変化することによって地震の破壊開始点が規定されるという平面断層で見られていた結果が、正しかったことが示された。また堆震探査で見られる不整形構造に対応する摩擦特性の不均質を与えた計算では、形状を考慮したことで平面断層の場合とは断層間の相互作用の仕方が異なることが示された。 (2)離散要素法(DEM)を用いた付加体形成過程のモデル化 当初単純な境界条件での断層破壊をモデル化することを予定していたが、破壊条件自体が外から与える境界条件に左右されることが判明したため、海山等の沈み込みのない単純な場合に対しても、プレート境界周辺の境界条件をできるだけ現実の沈み込み帯に近いものにすることにした。そこでまず南海トラフ等の沈み込み帯に特徴的な構造である付加体の形成部分をモデル化することから始めた.下盤と上盤のbackstopを弾性体でモデル化し、一定速度で沈み込む下盤の上面に粒子を供給し、それがbackstopに蓄積していくDEMモデルがPC上で完成した。今後今年度導入した並列計算機に移して実際の計算を行う。
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