研究課題
本研究は、東アジア砂漠域における鉱物性エアロゾル(ダスト)の地表面からの放出と鉛直輸送に果たす乱流や対流の力学的な役割を数値モデルにより解明することを目的としている。用いる数値モデルは、非静力学雲モデルにダストの放出・輸送過程を組み込んだものであり、乱流混合過程のモデリング手法としてラージエディシミュレーション(LES)モデルを用い、高解像度の数値シミュレーションを行う。解析にあたっては、風送ダスト研究計画ADECにより取得された現地観測データおよび気象庁GPVデータを利用する。前年度の実績をもとに、格子幅100mの高解像度で晴天時の対流境界層および積雲の発達過程についてLESを行った。LESを実施することにより、格子幅以上のスケールの乱流過程は直接計算できるため、高解像度の計算結果を前年度実施した比較的粗い解像度(500m)での数値シミュレーションと比較してみると、対流境界層および積雲の物理過程についてより詳細に表現することができた。境界層の発達がよりスムーズに再現され、より現実的な計算結果が得られた。ダストは、午前の時間帯には乾燥対流により境界層内で混合され、午後の時間帯には積雲により自由対流圏へと間欠的に輸送される様子が示され、乱流過程の重要性が明らかとなった。以上の数値シミュレーション結果を1年間分の現地観測データのうちで晴天条件の場合のものと比較した。研究成果は国内外の学会・ワークショップなどで発表を行い、また学術雑誌の原著論文としてまとめた。観測データの比較のために情報通信研究機構の研究グループと共同で作業を進め議論を深め、その成果は学術雑誌の論文として投稿準備中の段階にある。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (4件)
Journal of Geophysical Research Vol. 111
ページ: D11203
The 12th Conference on Cloud Physics, American Meteorological Society
ページ: 1. 65
日本気象学会2006年度春季大会講演予稿集 Vol. 89
ページ: B310
The International Workshop on High-Resolution & Cloud Modeling
ページ: 15